Marantz Model7 KCII の作製
 Model #7 のクローニングに成功した後、ヤフオクで復刻盤のフロントパネルを5000円で落札してしまいました(2011年3月31日)。もう一台作ってみたくなりました。一度成功するとなぜかもう一度同じことやってみたい性格のようです。生来の性格に加えて、いくつかの部品はすでにあるからです。例えばタンゴのトランスはすでに入手済みです。レバースイッチも4つ分あります。また、マロリーのケミコンを見つけたのでそれを使ってみたい気持ちも起こってきました。また、フイルムコンデンサーも以前調達した時に余計に買ってしまいました。問題はシャーシです。既製品の流用を考えましたが適当なものが見当たらなかったので、自分で作る(図面を引いて工作してもらう)事にしました。 リアパネルの図面です。



リアパネル以外は単なる長方形のアルミの板材です。それぞれを接合する部分は10ox10oのLアングルで構成しました。ホームセンターでアルミ材に塗るブロンズ色の塗料を見つけました。これを塗布してみました。かなりオリジナルに近いことが解りました。塗装面を保護するためにその後透明ラッカーをふりかけました。完全なデッドコピーを作るのも醍醐味ですが、今回は不要な機能はつけないことにしました。オリジナルとの異なる点は、テープデッキのためのEQの周波数特性を変更する可変ボリュームはつけずに固定抵抗にしました。さすがに今後テープデッキを使う可能性は低いと考えられます。それ以外は忠実に再現しました。



トランスは前回と同じタンゴのGS35です。しっかりと支えるためのホルダーを作りました。また、ブロックコンデンサーですが、最近復刻されたCP Manufactuaringというところから供給されています。少し高額でしたが購入しました。



それぞれのパーツをシャーシにつけていくと、モデル7らしくなっていきます。細かいことですが、センターのパイロットランプの明かりを伝える透明の樹脂も自分で作りました。ホームセンターでアクリルの円柱を買ってきて、ドリルを使って適切に削りました。こけしを作る要領です。最後にコンパウンドで磨いて光沢を出しました。


つぎの大きな問題はリアパネルのレタリングです。オリジナルは白と黄色の中間くらいの色の字でレタリングされています。最近はインスタントレタリングがめっきりと減りました。デカールという大手が撤退したようです。思ったような活字のものが手に入りません。ネットでいろいろと調べておりましたら、ピクアという会社を見つけました。会社のHPははここにあります。ピクアのレタリングでは特殊なシートにレーザープリンターで打ち出したものに接着剤を塗って化学物質を使ってレタリングを浮き上がらせ目的の表面に転写します。全てが正反対に転写されるのでプリンターで印刷するときにミラーイメージ印刷をする必要があります。色は黒のレタリングですが、それなりに満足のいくものができました。最後にレタリングをカバーするために透明ラッカーを塗布しました。 完成図はこのようになります。



一号機と同じようにはんだ付けを進めていきました。メインボード上の電解コンデンサーについてもスプラグの現行品を使いました。今回はボリュームとして第二世代に採用された東京コスモスの現行品を使いました。一号機での課題であったクロストークについて少し検討しました。他チャンネルの信号が漏れる(影響は小さいが確かにこの現象は起こります)。これは構造上の問題だと思います。作成された時にはあまり考慮されていなかったかもしれません。改善するためにピンジャックからの信号線をすべてシールド線にしました。オリジナルはフォノ信号でさえ、シールド線ではありません。シールド線のもつ浮遊容量を嫌ったものと思われます。今回は実験の意味でシールド線にしました。



淡々と配線を進めていきます。このアンプをどこで聞くのか、など何も考えないで作製に入ってしまいました。一度作成しているので二回目はそんなにむつかしいことはありません。今回はマランツが復刻版を出した時にたぶん東欧でつくられたECC83(12AX7)と思われるものを入手することができました。低ノイズのセレクトがかかった真空管ということです。回路のチェック、電圧のチェックの後音出しをしました。最初のものと全く同じ音が出ました。大成功に終わりました。このアンプをどこで使おうかと思案している折、再生SQ88FDを落札してくださったNさんから買い受けたいとのお申し出をいただきました。作製にかかった実費で引き取っていただきました。その後気に入ってくださっているようで製作者としても大変満足です。

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